著者:株式会社A.S.T

「ウインカーの増設って、車検に通るの?」
そんな不安を抱えたまま、ネットで情報を探していませんか。とくにドアミラーやサイドにウインカーを後付けした方からは、「見た目は良くなったけど保安基準に合っているのか分からない」「LEDやシーケンシャル仕様でも適合するの?」といった声が多く寄せられています。
実際、車検時に、方向指示器の点灯面積、橙色の明確な視認性、左右対称での装着など、国土交通省の保安基準を満たすことが明確に求められています。さらに、ウインカーの基準を満たしていないパーツを知らずに装着してしまうと、追加整備費が発生し余計な出費になるケースもあります。
このページでは、そうした「知らなかった」が生む損失を防ぐために、ウインカー増設時におさえるべき基準や点検のチェックポイントを、プロ目線かつ実際の検査員の判断傾向も踏まえて詳しく解説します。
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ウインカーの取り付け位置や明るさの基本を確認する
明るさの基準と確認方法について
ウインカーの明るさは車検において極めて重要なポイントであり、車両の安全性を示す上でも不可欠な要素とされています。明るすぎるウインカーは対向車や歩行者の視認性を損なう可能性があり、逆に暗すぎると点滅が見えづらくなるため、交通の安全を脅かします。そのため、国の保安基準によって明確なルールが設けられており、現在もこの基準は厳密に適用されています。
まず理解すべきは、「ウインカーは昼夜を問わず一定の明るさを保つ必要がある」という点です。乗用車の場合、前部方向指示器の明るさ(光度)は少なくとも180カンデラ、後部方向指示器では最低でも35カンデラ以上が必要とされており、この数値を下回ると車検に通りません。特にLED製のウインカーを後付けするケースでは、配光角やルーメン値に注意しなければ、設置後の光が適切に広がらない可能性があります。
ルーメンという単位は、光源から放たれる光の総量を示すものであり、明るさそのものを数値化する重要な指標です。しかし、車検では光度(カンデラ)が主に基準として採用されており、一般のユーザーがこの違いを理解せず、誤った製品を選んでしまうケースが少なくありません。明るさの確認には、専用の光度計を用いて実測するのが確実ですが、一般家庭に光度計が常備されていることは少なく、実際には整備工場などでの事前確認が推奨されます。
特にDIYでカスタムを行う場合、見た目重視でクリアレンズや極端に小型のユニットを使用する人がいますが、こうしたカスタムが光の拡散を妨げる場合が多く、車検時に不適合と判断される原因となることがあります。対策として、Eマーク(ECE認証)を取得している製品を選ぶことで、保安基準に適合しているかどうかを一目で判断できます。
項目
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基準値(目安)
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確認方法
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備考
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前部ウインカー光度
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180カンデラ以上
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光度計による実測
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明るすぎると眩惑の原因になる場合あり
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後部ウインカー光度
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35カンデラ以上
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光度計または照度計の計測
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製品仕様に数値記載がない場合は注意
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光の色
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橙色(オレンジ)
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目視またはLED色温度計
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白色や赤色、青色は不可
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配光角(視認範囲)
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60度以上
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専用角度計または実車確認
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側方からの視認性を確保
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Eマークの有無
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必須ではないが推奨
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製品マーキングの確認
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Eマーク50Rなどが車検適合の目安となる
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また、明るさに関連するトラブルとして、「点滅時に片方の光量が落ちる」「昼間は見えるが夜間は過剰に眩しい」などがあります。これらは単純にLEDの品質の問題やリレー不良に起因する場合があり、専門店での取り付け、または事前に整備士のアドバイスを仰ぐことで、車検での不合格リスクを大幅に減らすことが可能です。
取り付け位置で注意するポイント
ウインカーの取り付け位置は、車両の構造や法令で細かく定められており、保安基準に適合していない配置では車検を通過することはできません。ウインカーの見た目やカスタム性を重視するユーザーも多いですが、その位置が保安基準に適しているかどうかは慎重に判断する必要があります。
まず、基本となる位置のルールを整理します。一般的な車両では、ウインカーは車幅の端から端に対して、左右対称に設置されている必要があります。これは前後ともに同様で、車体中心線から見て左右に均等な距離に設置することが求められています。バイクについてもこの原則は変わらず、特にリアウインカーはマフラーやバッグなどの影響で位置がズレやすいため注意が必要です。
さらに、地面からの高さも重要なポイントです。前方ウインカーは地面から350mm〜1200mmの範囲、後方ウインカーも同様に400mm〜1200mmが推奨されており、この高さを逸脱している場合は視認性に問題があると判断され、検査で不合格となることがあります。
以下のような取り付け位置に関する注意点を表に整理します。
注意項目
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規定または推奨値
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補足内容
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左右対称の取り付け
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必須
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車体中心線から左右等距離が必要
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前方ウインカーの高さ
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地面から350mm〜1200mm
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極端に低いと泥や衝撃の影響で故障リスクが増加
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後方ウインカーの高さ
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地面から400mm〜1200mm
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リアフェンダー下部やマフラー干渉に注意
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横方向の距離(左右間)
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最低600mm以上が望ましい
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一定以上離れていることで視認性を確保
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垂直面からの設置角度
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ほぼ垂直が理想、5度以内が推奨
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斜め取り付けによる光の拡散不足を防止
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後から増設したウインカーが検査に通る条件とは
色や点滅の状態による判定の違い
後から追加したウインカーが車検に適合するかどうかは、単純な「点灯するか否か」だけでなく、光の色や点滅の周期といった細かな仕様にも深く関係しています。ウインカーは方向指示器としての機能を果たす重要な保安部品であるため、その点灯状態や発光方式に対しては国の保安基準が厳格に定められています。特に後付けのLEDウインカーやシーケンシャル型(流れるウインカー)などは、基準に適合していないと車検で不合格になる可能性があるため、取り付け前に必ず条件を理解しておく必要があります。
まず色に関してですが、ウインカーは法律上「橙色」でなければなりません。この「橙色」は、RGB表現や光の波長において明確に定義されており、これを満たさない色、たとえば白や赤、青に近い光色のウインカーは車検では不可とされます。また、透明レンズの内部にオレンジ色のバルブを使う場合でも、点灯時にきちんと橙色に見えることが求められます。
点滅の状態にも検査基準が存在し、「1分間に60回から120回」の点滅周期で、かつ一定のテンポで明滅していることが条件となります。これを「周期」と呼び、国土交通省の保安基準に明記されています。特にLED化されたウインカーでは、消費電力が低いために「ハイフラッシャー(ハイフラ)」と呼ばれる現象が起きやすく、これによって点滅速度が異常に早くなってしまい、車検では不合格の対象になります。
以下に、ウインカーの色や点滅状態による車検対応状況をまとめます。
判定基準項目
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適合条件
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非適合例
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補足情報
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光の色
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橙色(オレンジ)
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白、青、赤、黄色に近すぎる色
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点灯状態での目視確認が基準
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点滅周期
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60回〜120回/分
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ハイフラ(150回以上)
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ハイフラ防止リレーで対応可能
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点灯方式
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明滅式または順点灯(シーケンシャル)
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常時点灯、流れ方が不明瞭
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点灯パターンに関する検査が入る
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リフレクターの有無
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あり
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反射板なし、反射性の弱い素材
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夜間の視認性に影響
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点灯位置の視認性
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前方/後方から明確に見える
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補助灯との混在で不明瞭
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保安基準違反と見なされる場合あり
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左右対称や個数の考え方
ウインカーの取り付けにおいて左右対称性や個数の正確性は、車検における検査の中でも特に基本的かつ重視されるポイントです。特にウインカーを後付けで増設する場合、見た目のカスタム性や取り付け位置の自由度が増す一方で、適合性に関する判断はより厳格になっています。誤った位置や個数で取り付けた場合、視認性の低下だけでなく、他車両への合図として機能しない可能性があり、車検時には不合格の原因となります。
まず左右対称性についてですが、これは国の保安基準においても明確に記されており、車体の中心線に対して等距離でウインカーが設置されていることが必要です。左右どちらかに偏った配置や、サイズの異なるウインカーを用いた場合は、たとえ点灯していても「非対称」と見なされ、整備不良として扱われます。
さらに、車検におけるウインカーの「個数」については、前方に2個、後方に2個、側面に必要に応じて補助的に設置可能というのが基本形です。補助的に設けるウインカー(たとえばドアミラーやバンパーの追加ウインカーなど)はあくまで「補助灯」として認識され、これが主灯の役割を果たしていない場合に限って適合と判断されます。
ここで問題となるのが、4灯化や6灯化など、ウインカーを複数増設する場合です。これらは視認性を高める目的として行われるケースが多いですが、点灯パターンが主灯と異なる場合や、すべてのウインカーが同時点滅しない場合などは、検査員によって「判別が困難」「明確な意図を伝えていない」と見なされ、不適合となることがあります。
以下に、左右対称性や個数に関する適合・非適合の判断基準をまとめます。
判定基準項目
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適合条件
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非適合例
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補足情報
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左右対称の取り付け
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中心線に対して等距離・同サイズ
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片側のみ増設、小型と大型の混在
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側面からの見た目も評価対象
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ウインカーの個数
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前後2個ずつ、補助灯を除く
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4個以上で主灯の点灯タイミングが異なる
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補助灯は補助として機能することが条件
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同時点滅
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全灯が同時に点滅すること
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ミラー側が遅れて点滅するなど
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点滅リレーや電源分岐で調整可能
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補助灯の役割明確化
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主灯を超えない存在感
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主灯より明るく目立つ補助灯
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主従の関係が明確でなければ不適合
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配置位置の左右整合性
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水平・高さが一致していること
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左右で高さが違う、傾斜取り付け
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計測される場合もある
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さらに、取り付け位置が車体から大きく外側に張り出している場合、歩行者保護や外装パーツとの干渉リスクも加味されるため、安全性の観点からも不適切と判断される可能性があります。特にドアミラーウインカーやフェンダーウインカーを後付けする際には、配線の処理方法やユニットの位置、他灯火との関係性にも注意が必要です。
シーケンシャル点灯のタイプでも通るかどうか
流れるタイプの点灯が認められる場合
流れるように点灯する「シーケンシャルウインカー」は、視認性の向上やスタイリッシュな外観を目的として多くの車両に採用されてきています。とくに後付けパーツ市場では、テープ型やユニット型のシーケンシャルタイプが豊富に販売されており、簡易的なカスタム手法として人気を集めています。ただし、こうした後付けのシーケンシャル点灯タイプが車検に通るかどうかは、単純なデザイン性ではなく「保安基準に準拠しているか」という明確な技術的根拠が求められます。
まず、国土交通省が定める方向指示器の保安基準では、点灯方式として「明滅式」または「流動式(シーケンシャル)」のどちらでも許容されるよう、近年改正が行われました。この保安基準では、「点灯が内側から外側に向かって連続的に進行する」「点灯が一定速度で終了する」「1回の操作につき1回の流動が完結する」など、シーケンシャル特有の点灯パターンに対して明確な条件が示されています。
適合するシーケンシャル点灯の要件を以下の表にまとめます。
判定項目
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適合基準
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不適合例
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点灯順序
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内側から外側へ、または一方向に順番
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点滅順がバラバラ、ランダム点灯
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点灯周期
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1回の操作につき明確に流れて消灯する
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点灯状態が維持されたまま次の流れが始まる
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点灯速度
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一定の速度で流れること
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不規則に流れる、またはスピードが早すぎる
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流動方式の明瞭さ
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発光エリアが段階的に流れる
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輝度変化が曖昧で連続性が判断しづらい
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合計点灯時間
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前照灯・後部灯と同様に点灯間隔が適正
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点灯時間が短すぎて視認困難、または長すぎる
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製品の適合表示
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Eマークや車検適合マークがあること
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無認可製品、海外製で基準不明のテープウインカーなど
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実際の取り付けでは、LEDシーケンシャルユニットの配線ミスや電圧変動によって、点灯パターンが安定しないケースもあります。そのため、製品選びでは「国産対応」「Eマーク取得」「車検適合と明記されている」かを必ず確認することが重要です。また、点灯の制御に使用されるリレーや制御モジュールも製品によって品質が大きく異なり、点灯のズレや左右非対称な流れが生じると、車検の際に指摘されやすくなります。
さらに、テープ状のウインカー製品をフェンダーやグリル内に取り付ける場合、取り付け位置や光の拡散方向によって「視認性」が大きく変わります。とくに光が内向きになってしまう場合や、発光部分が目視できない構造の車両では、「点灯はしているが認識されない」という不適合リスクもあるため、取り付け角度の調整や明るさ(ルーメン数)の確認が求められます。
リアへの装着は条件が異なることがある
フロントウインカーに比べ、リア側にシーケンシャルウインカーを装着する場合はさらに厳しい条件が求められます。これは後方の視認性と安全性が直結しているためであり、後続車や周囲の歩行者に対して「方向を明確に伝える」ための正確な灯火が必要になるからです。
まず、後部の方向指示器については、光度や配光角度に関して厳密な保安基準が設定されています。特にリアへのシーケンシャル装着では、「全体が一方向に順番に点灯し、かつ1サイクルごとに消灯する」ことが条件であり、フロントと異なり「連続的に流れ続けるタイプ」は原則として不適合と判断される場合があります。
また、以下のような「リア特有の制限・注意点」が存在します。
項目
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内容
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注意点
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点灯方向
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内側から外側(車体中心から左右)
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外側から内側へは非推奨
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テールランプとの距離
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明確に区別できる位置に配置されていること
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ブレーキランプやスモールランプと一体型は要注意
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点灯速度
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フロントと同じテンポ、またはわずかに遅れる程度
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前後で点滅速度が異なると不適合
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Eマークの区分
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50R(方向指示器)表示があること
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テールランプ用のE4などは代用不可
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側方視認性の確保
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車両の横からも視認できる構造であること
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バンパー内蔵型・小型ユニットは視認性不足になる恐れあり
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リアへの取り付けで特に問題となるのが、ウインカーの光がブレーキランプやスモールランプと混在してしまい、後続車が「どちらの意図なのか分かりにくい」と判断するパターンです。これが「視認性不良」と評価されると、たとえ基準を満たしている部品であっても、検査員の判断によって不合格となる可能性があります。
さらに、トラックやバンのように後部が高くなっている車両では、ウインカーの装着位置が通常の乗用車とは異なるため、点灯位置の高さも審査対象になります。この場合、地面からの高さが適切かどうか、照射範囲が後方30メートルまで届いているかといったチェックも加わり、基準に対する対応力が求められます。
リアウインカーに関する補助的な条件も整理しておきます。
- リアウインカーは、片側1個ずつ、左右対称に設置されていること
- LEDユニットは、均一に明るく、部分的な照射漏れがないこと
- 点滅周期が前ウインカーと連動していること(非同期は減点対象)
- 点滅の明暗がはっきりしており、点滅間隔に乱れがないこと
近年ではリアウインカーとテールランプが一体になった製品も多く出回っていますが、これらは保安基準に則って設計されている製品かどうかを確認しなければなりません。とくに海外製の汎用品では、照射角度や色味、配光パターンが日本国内の基準と合致しない場合が多いため、信頼できるメーカーまたはEマーク認証済みの製品を選ぶのが最善策です。
ドアミラーやサイドウインカーの追加時に注意したい点
光の広がり方と面積の確認
ドアミラーやサイドに追加するウインカーの設置で最も重要なのが「視認性の確保」です。後付けであっても、車検に適合するためには保安基準に準拠している必要があり、光の広がり方や照射面積は、合否を分ける重要なポイントになります。特にドアミラーウインカーは、純正部品として装着されている車種が増えている一方で、カスタム市場でも人気の後付けタイプが多く出回っており、判断基準を理解しておくことが必要です。
視認性の確保は以下の3つの要素が基本となります。
- 光の照射角度
- 照射面積と明度(ルーメン値)
- 点滅の周期と明暗の明確さ
これらを満たすことで、正しく後方・側方の車両や歩行者に進行方向を伝えることができます。特に照射角度に関しては「真横から明確に点滅が視認できるかどうか」が問われるため、レンズの形状や配置が非常に重要です。
照射面積が狭すぎると、昼間の強い太陽光下ではウインカーの点滅が見えにくくなり、安全性に欠けると判断されるケースもあります。逆に、必要以上に広がりすぎて他の灯火と重複してしまう場合は、逆に不適合になる可能性もあるため注意が必要です。
以下は、車検に通るかどうかの基準を簡単に比較できるようにまとめたものです。
項目
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適合基準の例
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注意点や不適合例
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照射角度
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前後45度、左右90度から視認できること
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ドア開閉時に隠れる配置は不適
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面積
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7cm²以上が推奨
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面積不足やレンズ一部のみ点灯はNG
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光度
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日中視認できる明るさ(約300cd以上)
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LED数が少なく輝度不足
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明暗のコントラスト
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はっきりとした点滅の明暗差があること
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ゆらぎやフラッシュの不明瞭さ
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レンズの色
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橙色(オレンジ)であること
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白や青、透明レンズで橙色に見えない場合不適
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特に光度や明暗の差は、車検時に実際に目視で確認されることが多く、検査官の主観にも影響されます。そのため、安価な無名ブランドのウインカーパーツを使用する場合には注意が必要です。パッケージに「Eマーク」や「JIS適合」の表記があるかを事前にチェックしておくことが、確実に車検を通すためのポイントになります。
また、ウインカーの追加位置が視認性に直接関わるため、ドアミラーの角度や高さも考慮する必要があります。車両の全幅を超えて取り付けられた場合、歩行者との接触リスクや保安基準違反となる場合もあるため、車体からの突出量を必ず確認してください。
特にサイドウインカーの場合は、以下のようなトラブルも報告されています。
- ボディと一体化しすぎており視認性が低い
- 周囲の装飾パーツに光が遮られて点滅が見えない
- 他のLED照明(デイライト等)と同時点灯で見分けがつかない
これらを防ぐために、取り付けの際には必ず「点灯状態での視認性」を事前にテストすることが推奨されます。特に夜間と昼間での見え方の差が大きいため、可能であれば両時間帯に点灯チェックを行い、安全性を担保しましょう。
配線の見え方や取り回しの工夫
後付けでドアミラーウインカーやサイドウインカーを装着する際には、「どのように配線を取り回すか」という点が、機能性と安全性、そして見た目の美しさに大きな影響を与えます。特に外観を重視するユーザーが多いカスタム分野では、露出した配線や不自然な取り回しが目立ってしまうと、仕上がりが一気に素人感を帯びてしまうため注意が必要です。
配線に関する主な課題は以下の5つです。
- 配線の露出による外観の乱れ
- 振動や風圧による断線リスク
- 雨水や融雪剤による腐食・ショート
- ヒューズやリレーへの過負荷
- 配線経路がエアバッグや他の電装と干渉する危険性
これらを避けるためには、以下のような配線処理の工夫が効果的です。
- 配線はドア内部を通すか、純正配線ルートに沿って引く
- エンジンルームやドア内部での「結線」はエレクトロタップや圧着端子を用い、ハンダ付けで補強
- 防水処理として、自己融着テープやシリコンチューブで被覆
- 分岐させる場合にはリレーを介して過電流を防ぐ
- 車種別専用設計の配線キットを使用し、余計な加工を避ける
以下は、配線処理方法とその評価を比較したものです。
配線処理方法
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見た目評価
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耐久性
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メンテナンス性
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推奨度
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ドア内部通し
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優れている
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高い
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やや難しい
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高
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エンジンルーム内結線
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普通
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高い
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普通
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中
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外装モール沿い取り回し
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目立つ
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低い
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容易
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低
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専用キット使用
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非常に良
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高い
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容易
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高
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汎用ハーネス直結
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悪い
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低い
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面倒
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低
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特に最近では、車両の電子制御が高度化しており、不用意に電源を分岐させたり、CANバス信号に干渉すると、誤作動や警告灯が点灯する可能性があります。したがって、「テスターによる事前の電圧・信号確認」は非常に重要な工程となります。
自分で行う点検のチェックリスト
日常的に確認すべきポイント
日常的な点検は、安全に運転するための基本であり、車検を問題なく通過するためにも重要です。特にウインカーや方向指示器のような灯火類は、目視で状態を把握しやすい項目である一方で、不具合があっても気づかれにくいというリスクがあります。ここでは、一般ユーザーが毎日の使用の中で簡単に確認できるポイントを具体的に整理します。
まず、ウインカーの点灯状態の確認です。左右のウインカーが確実に点灯・点滅するかどうか、また点滅速度が適正であるかを観察します。片側だけ速く点滅する現象(ハイフラッシュ)は、バルブ切れやLED化による電流不足が原因となることが多く、保安基準に抵触する可能性があります。発見次第、早急に対応すべきです。
次に重要なのが光の色と明るさです。前方ウインカーは橙色、後方も基本的に橙色が望ましく、白色や赤色で点灯している場合は車検に通らないことがあります。色の変化は経年劣化やレンズの黄ばみによることもあるため、長期間使用している車両ではレンズの状態も併せて確認することが大切です。
さらに、ウインカーの個数と左右対称性のチェックも欠かせません。通常は前後左右に一つずつ、計四つ設置されているのが基本ですが、カスタムや後付けでサイドやミラーウインカーを追加している場合、左右対称に装着されているかがポイントです。車検では左右対称性が重視されるため、片側のみの追加は原則NGとなることが多く、整備不良と見なされるリスクがあります。
また、サイドミラーやフェンダー部のサイドウインカーの視認性も重要です。点滅していても視認角度が狭かったり、外光の影響で視認しにくい場合は不適合とされることもあります。確認の際は、晴天時や夜間、後方や斜め方向など様々な角度から見て、点滅が明確に見えるかを確かめてください。
日常的な点検では、単に点灯の有無だけでなく、法規適合性、視認性、対称性など保安基準に深く関わる項目を一つひとつ丁寧に確認することが求められます。簡単な作業のように思われがちですが、実際には見落としやすい点も多いため、点検はなるべく定期的に、かつ周囲の明るさや角度を変えながら複数回行うことで、より正確な判断が可能になります。
ライトや配線に不具合がないかを見分ける方法
灯火類の不具合の多くは、点灯不良や点滅異常として現れますが、その背後には配線の断線、接触不良、または電圧の不安定化といった要因が存在します。ユーザーが自力で点検できる範囲で、問題の兆候を見逃さない方法を以下にまとめます。
最初に行うべきはスイッチ操作と点灯タイミングの確認です。ウインカーレバーを操作した際に、点滅の開始が極端に遅かったり、点灯せずにカチカチという音だけが鳴る場合は、リレーや配線に異常が生じている可能性があります。また、操作時に触覚で違和感を覚える場合(レバーが軽すぎる、固すぎるなど)も接点の劣化が疑われます。
次に、電圧の安定性の確認です。これは専用の電圧計が必要になりますが、最近では車載用の簡易型電圧モニターが販売されており、シガーソケットに差し込むだけで電圧状態を確認可能です。電圧が12Vを大きく下回る場合、ウインカーやヘッドライトが暗くなったり、点滅周期が乱れるといった現象が現れます。
特に注意したいのがLEDウインカーの後付け配線処理です。純正配線との電圧や抵抗値の違いにより、エラーが出たりハイフラッシュが発生したりします。リレーやキャンセラーを追加で装着している場合は、接続が正しいか、断線がないか、熱でハンダが剥がれていないかを視覚的に確認します。熱収縮チューブや絶縁テープの使用状態も見逃せません。
配線確認時に見るべきポイントは以下のとおりです。
確認箇所
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異常の兆候
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点検方法
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対応策
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ウインカーリレー
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点滅が早すぎる、無反応
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点滅音と動作を確認
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リレー交換、LED対応化
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接点・端子
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緩み、腐食、異音が出る
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接点クリーナーで清掃、再締結
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端子交換、ハンダ修正
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LEDキャンセラー
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異常発熱、点滅が止まらない
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温度と通電状態を確認
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再設置または製品見直し
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電圧状態
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11V以下になる、暗くなる
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電圧計またはOBD2スキャン
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バッテリー交換、配線見直し
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配線の取り回し
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外れかかっている、摩耗している
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物理的な点検と軽い引っ張りで確認
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クランプ追加、絶縁補強
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ライトや配線の不具合は、放置すると保安基準違反につながり、車検時に重大な指摘を受けることになります。特に改造や後付けパーツを使用している場合には、純正の設計とは異なるため、より丁寧なチェックと調整が求められます。
まとめ
ウインカーを後から増設した車両が車検に通るかどうかは、多くのドライバーにとって重要な関心事です。特にLEDやシーケンシャル点灯タイプ、ドアミラーやサイド部の後付けといったカスタムは見た目の魅力を高める反面、保安基準への適合可否に不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
保安基準においては、方向指示器の明るさ、点滅周期、照射角度、左右対称性、橙色の識別性など細かな要件があり、単にパーツを装着するだけでは適合とは見なされません。例えば国土交通省の定める規定では、点灯面積や取付位置の誤差が検査基準外と判断されるケースもあり、整備不良と見なされて再検査となることもあります。
また、配線の取り回しや露出状態も合否の判断材料となります。配線がむき出しで固定されていなかったり、配線処理が甘いと、見た目はともかく検査官の判断で「整備不良」と記録されてしまうことがあります。
この記事では、ウインカーの増設が車検に通るための具体的な基準、注意すべき点灯パターン、リアへの装着時の条件の違いなど、実例に基づいて詳細に解説してきました。読者の皆さんが安心してカスタムを楽しみながら、無駄な再検査や費用を避けるためにも、ここで紹介したチェックリストや検査官視点での注意点をしっかり押さえていただければと思います。
制度に従って正しく整備すれば、増設されたウインカーも適合することは十分に可能です。見た目だけでなく、安全性と法令遵守の両立を目指すことが、賢いクルマの楽しみ方といえるでしょう。
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よくある質問
Q. ウインカーを増設すると車検で落ちることがありますか?明るさや位置に明確な基準はあるのでしょうか
A. ウインカーの増設によって車検に通らないケースは一定数存在します。特に国土交通省の保安基準においては、ウインカーの明るさが昼間でも十分に視認できること、橙色の点灯が明確であること、そして点滅周期が一定であることなどが厳格に定められています。また、取り付け位置についても地上からの高さや左右対称の配置が必須条件とされており、これらを満たしていない後付けウインカーは検査員の判断で不適合と見なされることがあります。検査の際には、明るさの単位であるルーメン値や照射角度のデータを参考にしながら、基準をクリアしているか確認されます。
Q. シーケンシャルウインカーをリアに装着する場合、車検に通るか不安です。どうすれば確実に適合できますか
A. シーケンシャルウインカーのリア装着に関しては、前方と比較してさらに厳格な条件が求められます。特にリア側はブレーキランプやテールランプとの視認性が競合するため、光の重複や誤認識を避けるための工夫が重要です。保安基準上、リアに流れるウインカーを設置する場合は、点滅速度、発光範囲、光量が明確に定められており、Eマークのある製品や基準に適合したLEDパーツを選ぶことが合格の近道です。また、配線方法やリレーの設定も合否に影響するため、事前に整備士による確認を受けることをおすすめします。
Q. ウインカー増設の際にドアミラーへの後付けは可能ですか?配線の見え方は車検で影響しますか
A. ドアミラーへのウインカー増設は視認性向上という点で評価されるケースが多いですが、配線の処理方法によっては車検に通らないリスクがあります。露出配線や仮止め状態では整備不良と判断されやすく、保安基準にある「しっかりと固定され、安全に配慮されていること」という要件を満たすことが求められます。特に外装を横断する配線には、耐熱性と耐水性の両立が必要で、業者によっては専用のハーネス処理を行うことで確実に合格基準を満たすよう施工されます。検査員によっては美観よりも機能性を重視するため、配線処理の甘さが思わぬ減点対象になることもあります。
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